b型肝炎の特徴や使用薬剤について

b型肝炎の特徴や使用薬剤について

ニュースなどで話題となるb型肝炎ウィルス。名前は聞いたことはあるけど、どのような病気なのか知らない人がいるかもしれません。ここではb型肝炎の概念や症状、感染経路について紹介します。また、b型肝炎には肝機能改善薬や胆石溶解薬、インターフェロン製剤や核酸アナログ製剤などさまざまな種類があります。

今回はそれぞれの薬剤の特徴を取り上げてみます。

b型肝炎の概念

ニュースや新聞などで聞くことがあるb型肝炎。b型肝炎とは、b型肝炎ウィルスに感染することで発症する急性肝炎のことです。b型肝炎ウィルスに感染して急性肝炎を発症しても、ほとんどのケースでは軽症で済み、1~2カ月程度で完治します。

またb型肝炎が重症化するのは、急性肝炎を起こした人のうちの約2%程度といわれています。さらにb型肝炎ウィルスに感染しても、全ての人が急性肝炎を発症するわけではありません。b型肝炎ウィルスに感染した人の70~80%は、症状が出ないまま完治する不顕性感染なのです。

もしb型肝炎を発症するとどのような症状が出るかについて関心を持っている人は多いです。b型肝炎ウィルスの潜伏期は約1~6カ月程度あるため、ウィルスに感染してすぐに症状が発症するわけではありません。初期症状としては倦怠感や疲労感、食欲低下が1週間程度続きます。

そしてよく見られる症状としては、嘔気嘔吐や腹痛や黄疸があります。黄疸が出るのは成人で約30~50%、小児では10%以下といわれています。

場合によっては紅斑や関節痛、関節炎や発熱などの症状を訴える人もいます。重症化しなければこれらの症状は1カ月程度で回復します。

b型肝炎の感染経路

b型肝炎ウィルスの感染経路は垂直感染と水平感染です。垂直感染とは母親から胎児への産道感染です。この感染はb型肝炎ウィルスキャリアの成立の関わっていて、持続性感染に大きく影響しています。現在、b型肝炎ウィルスキャリアの母親から生まれた赤ちゃんは、b型肝炎ウィルスワクチンとb型肝炎ヒト免疫グロブリン注射の投与が一般化され、症状の発生は減少しました。

また水平感染とは輸血や注射針の使い回し、針刺し事故など医療行為によって発生するものや、性交渉による感染などがあります。健常な成人の水平感染の場合、消耗性疾患や末期癌などによる免疫不全状態を除けば一過性であることが多いです。

一過性であれば持続化することはあまりありません。何故なら、健常な成人ではb型肝炎ウィルスに対する抗体が産生されるからです。その抗体にはウィルスの中和活性があるため、持続化しにくいのです。

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b型肝炎の治療について

先述の通り、健常な成人の水平感染では持続化することなく、自然治癒することが多いです。

そのため、劇症化を防止する目的以外では、基本的に治療は必要ありません。急性期に見られる食欲不振や全身倦怠感が出た場合、対症療法を行い生活の質を向上させます。

もし劇症化した場合は、生体肝移植や透析治療が検討されます。

肝機能改善薬及び胆石溶解薬とは

もちろん、b型肝炎には治療で使われる薬剤が存在します。代表的なものとして4種類あり、1つ目は肝機能改善薬です。これはグリチルリチン製剤(商品名:強力ネオミノファーゲンシーなど)が挙げられます。この薬剤は注射剤であり、肝機能の状態を示すASTやALTの回復が長引いている場合に投与されることがあります。

グリチルリチン製剤は漢方製薬の甘草の主成分であり、抗アレルギー作用とともに組織修復作用を示します。それにより炎症による組織障害を抑制し修復させます。2つ目は胆石溶解薬です。胆石溶解薬にはウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソなど)があります。

ウルソデオキシコール酸には胆汁うっ滞型急性肝炎に投与されます。この薬剤には利胆作用や肝血流量増加作用、胆石溶解作用があります。これらの作用によって胆汁うっ滞を改善させ、黄疸症状を抑えていきます。

インターフェロン製剤とは

3つ目はインターフェロン製剤です。インターフェロン製剤(商品名:スミフェロンなど)投与の目的は、HBe抗原を陰性化させることです。細菌やウイルスなどの異物を抗原といいますが、HBe抗原とはb型肝炎ウィルス(すなわち異物)を構成するタンパク質の1つです。

HBe抗原はb型肝炎ウィルスの内側に存在し、ウィルスが活発に増殖しているときに作られます。つまり血液検査でHBe抗原が陽性だと、b型肝炎ウィルスが過剰に増殖して感染力が強いことを示します。インターフェロン製剤はHBe抗原を陰性化させる働きがあるため、HBe抗原が陽性かつb型肝炎ウィルスDNAポリメラーゼ陽性の慢性活動性肝炎に適用されます。

DNAポリメラーゼとはDNAの合成酵素の1つであり、b型肝炎ウィルスの産生に関わっています。インターフェロンの代表的な副作用として、抑うつ状態や間質性肺炎があります。特に漢方薬の小柴胡湯とインターフェロンを併用すると、間質性肺炎の恐れが高くなるため併用禁忌です。

またインターフェロンには肝炎の急性増悪を起こすことがあるため、投与するときには肝予備機能があるかをチェックします。肝予備機能とは、肝臓が障害を受けても代償作用が働いて元に戻ることができる性質のことをいいます。

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核酸アナログ製剤とは

4つ目は核酸アナログ製剤です。b型肝炎ウィルスにおいては、ウィルス量が多いほど慢性肝炎などを発症するリスクがありますが、ウィルスの増殖を直接抑える作用を有するのが核酸アナログ製剤(商品名:バラクルードなど)です。

核酸アナログ製剤の良いところは、b型肝炎ウイルスの遺伝子型や年齢に関わらず、ほとんどの症例で抗ウイルス作用をきたして肝炎を沈静化させることです。一方で、投与を中止することで肝炎の再発率が高くなるという弱点があります。

再発すると劇症化のリスクがあることから、核酸アナログ製剤は長期投与が必要な薬剤です。そして核酸アナログ製剤を長期投与すると、耐性ウィルスの存在が問題となります。核酸アナログ製剤にはいくつか種類がありますが、2006年発売のエンテカビル(商品名:バラクルード)と2014年発売のテノホビル(商品名:テノゼット)は、2000年発売のラミブジン(商品名:ゼフィックス)と比べて耐性ウイルスの出現率は低いため、一定の効果が出るといわれています。

しかしながら、エンテカビルもテノホビルも長期投与が必要な薬剤です。そのため安全性や耐性ウィルスの発現については、今後も調査が必要といわれています。